ワイ、そんな息切れるまで粘れねぇ…
こんな悩みを持つ方に向けた記事です。
こんにちは、筋トレ大好き会社員のこう(@musclescience)です。
「筋肉を大きく、強くするためには限界を超える必要がある」
あなたもこのような言葉をどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
限界のその先を見た人だけが成長できる...こんな風に思っている方も実際多いと思います。
しかし本記事では、このような考えはもう古く、筋トレは限界まで追い込む必要がないということを海外の研究を用いて解説しています。
もしあなたが筋トレをする時に限界まで追い込めないことを悩んでいる、または毎回必死で限界まで追い込んでいる場合は、必見の内容です。
ぶっちゃけ本記事の内容は中級者〜上級者向けの内容を多く含んでいます。
しかしどれも僕が筋トレを始めた4年前に知りたかった内容です。
初心者の方も知っておく価値が大いにあると断言できます。
筋トレに対する考え方が変わるかも?
目次
「筋トレは限界まで追い込むのが正義」はもう古の考えな理由【科学が示す】
まず結論ですが、筋トレは限界まで追い込む必要はありません。
その根拠として今回引用するのは以下の文献です。
全部英語なので、読んでみたいと思った方は是非読んでみてください。
Does Training to Failure Maximize Muscle Hypertrophy
(リンクは無料で本論文を閲覧できるサイトです)
まず次の図をご覧ください。
こちらは、前述の研究で用いられていた図を和訳(自分の解釈込み)したものです。
これは、筋トレで限界まで追い込むことの是非を科学的に考察した文献になります。
前文英語ですが、僕が初心者でもわかるように日本語で、かつ分かりやすい言葉で説明していきますね。
項目は上記の図に対応する6つです。
- 高強度低レップが望ましい
- 限界までやると、回復時間が遅れる
- 限界までやるなら期間を決めよう
- 高齢なるほど回復が遅くなる
- 限界までやるなら、安全性に配慮しよう
- モーターユニットの概念を理解しよう【最重要】
どれもかなり重要で有益な情報となっております。
それぞれ解説していきます。
高強度低レップが望ましい
この章では、高強度トレーニング=オールアウトと結論付けられていました。
これは、2、3回しかできない重量で行うトレーニングは、オールアウト(筋肉を限界まで追い込むこと)したときと同じ筋肥大効果が得られると言う意味です。
これって、すごいことじゃないですか?
だって自分の扱える重量を把握することで、息切らしながら限界までやるしんどいトレーニングと同じ効果が得られるんですよ。
僕もこの研究を読みながら高強度レップ法(勝手に名付けました)を意識してトレーニングを行なっています。
でも感想としては、「追い込んでいないので、なんか物足りない」です。
でもその後に追い込みたくて、普段なら10レップできる重量に落としてセットを組んでも、できません。
つまりこれは、限界まで追い込んでいないけど、筋肉はしっかり疲労しているということを意味することを実感しました。
筋トレ中級者くらいでわかる方ならわかると思うのですが、MAX重量に挑戦した日のトレーニングは、その後のセットで普段よりも重量を扱えない経験をしたことがあるのではないでしょうか。
高重量に関わらずですが、追い込めているかを判断する場合、
を判断すのも一つの方法です(セット間のインターバルは1〜2分の場合、それ以上休むと同じ回数できる場合もある)。
ベンチプレスなどで、4セットやって4セットとも10回できる場合は重量の見直し時かもしれませんね。
ただどんなどんな種目でも高強度低レップでやればいいわけではありません。
この詳細については、後述の「限界までやるなら、安全性に配慮しよう」の章で解説します。
これを機に重量を意識してみよう。
-
筋トレでよく聞くレップとは?他の頻出筋トレ英単語も海外12年の僕が解説する
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限界までやると、回復時間が遅れる
筋トレで限界まで追い込むことは、筋肉の回復時間を延長する可能性がある(24~48時間)。
したがって、トレーニングをする頻度が高い人(1週間に4回以上)にとって、限界まで追い込むことは必ずしも適切であるとは限らない。
こんな言葉を聞いたことはありませんでしょうか。
この言葉、根拠のない、継続力のない人が発するような言葉にも聞こえますが、実は科学的な裏付けがあります。
毎日筋トレをする人で毎回限界まで追い込んでいる人は、本研究によると回復が追いついていません。
限界まで追い込むことは、エネルギー消費の観点(ダイエット効果など)からは優れているかも知れません。
しかし筋肥大を目的とした場合や、安全性の観点(後述)からは好ましいとは言えないのです。
そのため毎回トレーニングを限界までやっている人は、2日に1回のトレーニングにするなど、頻度を見直す必要性も視野に入れる必要があります。
でもここで注意したいのが、毎日限界までやる場合は頻度を下げた方がいい訳であって、毎回限界までやらない場合は、毎日やってもいいという考え方もあります。
僕は筋トレは毎日やるべき派なので、以下の記事も参考にしてみてください。
-
「筋トレ毎日は逆効果」は嘘?【二つの観点から考察】
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限界までやるなら期間を決めよう
トレーニングで限界まで追い込むことは、トレーニングプログラムの中で周期的に行うことが望ましい。
例えばオーバートレーニングを阻止するためにも、4週間など短い周期を決めたり、種目によって限界まで追い込むかどうかを決めたりすることが大切である。
ここで言及されていることをもっと簡潔にまとめると。
- 毎回毎回限界までのトレーニングはやめろ!
- 限界までやっていい種目もある!
の2点です。
毎回限界までトレーニングはやめろというのは前述の通りですが、本研究では限界までのトレーニングを決して否定しているわけではありません。
限界まで追い込むトレーニングをしたいなら、周期を決めて、その期間中は全力で限界までやるという方法を採用することが望ましいようです。
たしかに僕が数年間筋トレをやってきて感じることは、限界まで追い込むトレーニングもやるべきだということ。
でもそれが毎日続くと関節が痛くなるし、筋トレのモチベーションが下がったりもします。
なので筋トレを限界までやることは、たまにやるくらいが丁度いい、と僕は感じています。
そして限界までやっていい種目もあるという点に関してですが、この研究では、単関節種目と多関節種目で考え方を分けています。
結論、単関節種目なら限界まで追い込んでOKです。
単関節種目は名前の通り、一つの関節だけが関与する動作のトレーニングです。
アームカール、サイドレイズなど。
そして多関節種目というのは体全体を使うような種目です。
スクワット、ベンチプレス、デッドリフト、いわゆるBIG3。
*厳密には、どの種目も多関節種目です。単関節とは言いつつも、体の重心を支えるために膝や足首も使うので。
完全に一つの関節しか関与しない動作はありませんが、あくまで”理論上”の話です。
多関節種目は筋神経にも精神面にも大きな負荷がかかります。
まあ難しい言葉は置いといて、要はオーバートレーニングの原因となってしまうということです。
なのでこの章の内容も、筋トレする上ではしっかり抑えておきたい内容です。
-
筋トレのオーバーワークって嘘なん?【普通になります...】
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高齢になるほど回復が遅くなる
若年層と比べ、高齢になるほど筋肉の回復速度は遅くなる。
そして筋トレで限界まで追い込むことでさらに筋肉の回復に時間がかかるとすれば、高齢になるほど限界まで追い込むことは好ましくなくなる。
タイトル通りですが、歳を取るにつれて筋肉の回復は遅くなります。
20代の方ならまだ分からないかもしれませんが(自分も20代です)、歳をとって、昔みたいに元気に動き回れなくなったな〜と感じる方は多いのではないでしょうか。
実際、歳を取ればとるほど筋肉の回復が遅くなることは科学的に明らかになっているようです。
年々筋肉の回復が遅くなっていくのに、そこにさらに限界まで追い込むようなトレーニングをすると、さらに筋肉の回復を遅延させる可能性があります。
これは常に体が故障している状態で、常時「壊れる速度>回復速度」の状態です、これはあまりよくありませんね。
自信の筋肉の回復速度が直感的に遅くなっていると感じる方は、限界突破トレーニングには要注意です。
限界までやるなら、安全性に配慮しよう
安全性の観点から言えば、筋トレで限界まで追い込む際は単関節種目や、マシンを中心としたトレーニングが好ましい。
多関節種目で限界まで追い込むことは、怪我のリスクを高める可能性がある。
前述の「高強度低レップ」法は筋肥大を狙う上でかなりいい方法であると言いました。
しかし懸念点がひとつあります。
それは安全面です。
高強度低レップ法で腰、肩、肘を痛めるというのは、よく聞く話です。
実は僕も去年の夏にハーフデッドリフト(補助バーを使用して腰の負担を減らす種目)をやっていましたが、腰が「ピキっっっ」となって痛めました。
最近ようやく治ってきたのですが、正直痛みは1年以上続きました。
自分は絶対怪我をしない!と思う人はいますが、僕もそうでした、そして実際に怪我をして安全面にはさらに配慮するようになりました。
少し話が逸れましたが、安全面に配慮しつつ、けど高強度なトレーニングをしたい場合、本研究ではマシンを使用することが推奨されています。
マシントレーニングはなんとなくダサいというイメージが日本にはある(気がする)と思いますが、海外ではマシンを使う人は多いようです。
実際に僕もよく海外のボディビルダーのトレーニング動画を漁りますが、安全面への配慮から、マシンのトレーニングを取り入れる人は多い印象です。
また、やはりここでも単関節種目が安全面の観点からも推奨されています。
自戒の念を込めて改めて思いますが、バーベルやダンベルなどのフリーウェイトを信仰しすぎるのは、思考停止かもしれませんね。
モーターユニットの概念を理解しよう【最重要】
筋トレで限界まで追い込むことは、低負荷のトレーニングにおいてより効果的であるが限界に到達するまでは大きなモーターユニットは動員されない。
逆に高負荷のトレーニングでは、強い刺激により大きなモーターユニットが動員される。
したがって筋トレで限界まで追い込むことは、必ずしも優先するべき必要はないと言える。
モーターユニット、恐らくほとんどの人は聞いたことがない言葉のはず。
正直僕もこの文献を目にするまで知りませんでした。
詳しい説明は解剖学や生理学を用いて説明する必要があるのでざっくりした説明をします。
要は、如何に自分が持つ力(筋力)を対象の種目に注げるか、が重要であるということです。
もっと詳しくいうと、その日のトレーニングを始めて、筋力がまだフルで残っている状態で、どれだけ爆発的な力を発揮できるか。
例えばベンチプレスをする時、トレーニング開始時に100の力があるとすると、それをできるだけ多く使える重量(高強度低レップ法)を選ぶ必要があります。
理解のための数値ですが、ここで低レップ高強度法で50力を使うことを理想とします(ここでは第一種目で体力を使い切ること=筋力の限界まで追い込むことは不可能とします)。
仮にトレーニング中盤で100中の50しか大量が残っていない状態で同じことをやっても、筋力的に25~30くらいしか基本的には力を発揮できません。
この数字をモーターユニットとして考えると、50の力を使ったトレーニングと25の力を使ったトレーニングどちらが筋肥大を起こすと思いますか?
この研究的には、前者の50の筋力を使ったトレーニング方法が答えです。
モーターユニット、この言葉は覚える必要はありませんが。
しかし限りある筋力という貴重な資源を、その日のトレーニングのどこで使うか、少し意識してみてはいかがでしょうか。
「筋トレは限界まで!」←こう考える人が多い二つの理由
ここまでかなり科学的な視点から、筋トレは限界まで追い込む必要は必ずしもないということを見てきました。
でも多くの人は、「筋トレは限界まで追い込むのが正義!」と考えているのが現状です。
その理由を二つの観点から考察していきますね。
- 翌日の筋肉痛を成長したか否かの指標にしている
- 疲労感から、成長しそうという思い込み
それぞれ解説していきます。
翌日の筋肉痛を成長したか否かの指標にしている
一番多くの人が陥る勘違いです。
あなたも、いまだに翌日の筋肉痛で成長を判断していませんか?
確かに筋肉痛というなんとも言えない快感は、私たちをどうしてもその気にさせてしまいます。
しかし現代の科学では、筋肉痛と筋肉の成長は、あまり関係のないことがわかっています。
ここを理解しないと、下記のような負のスパイラルにハマってしまいます。
このサイクルにハマると、限界まで追い込まないと、気が済まないようになり考え方を変えるのが難しくなります。
なのでどこかで見切りをつけて、
「限界まで追い込まない方が成長するかもしれない」
くらいに考えて試してみるのもいいかもしれません。
疲労感から、成長しそうという思い込み
筋トレで限界まで追い込んだ後って、疲労感が半端ないですよね。
その後に高タンパク飯を食って、風呂入って寝る。
この流れの心地よさから、疲れ切るまでトレーニングをすることが日課となる場合があります。
確かにそれでも成長します、僕もそれで成長してきたし、今もしています。
けど本研究によると、筋トレで日常的に限界まで追い込むことは筋肥大を狙う上ではあまりよくないとされています。
と思うかもしれませんが、効率が悪くなったり、機会損失につながることも考えられます。
限りある時間のトレーニングで、どうせなら最大限の効率でデカくなりたいですよね。
時間を有効的に使うと言う意味でも、限界のヘトヘトになるまで追い込まず、高負荷かつ短時間でサクッと終わらせるトレーニングの方が、高い効果が見込める可能性があります。
筋トレは限界までやる必要はない【結局、どんなトレーニングをしたらいいか】
ここまでの説明を読んで、
でも、じゃあ結局どんなトレーニングをしたらいいの?
と疑問に思うはずです。
ここからは論文の内容+僕の意見も入れますね。
やはり怪我には気をつけながら高重量で筋肥大を狙っていきたい場合は、高重量低レップ法がおすすめです。
そのためのアクションプランは以下の通り。
アクションプラン
- よくやる種目の最大重量(1RM)を計測してみよう
- 重量に対して積極的に、敏感になろう
そしてこの方法を採用するに値する種目は、王道ですがやはりBIG3です。
BIG3を高重量低レップ法でどんどん練習するのがデカくなるための最適解の一つであることはまず間違いありません。
BIG3があまり好きじゃないなら、何か好きな種目を探して、同様の手法を適応させるのもありです。
高重量は最初は慣れませんが、練習して慣らす価値はあると思いますよ!
筋トレは限界までやる必要はない【まとめ】
最後に本記事の大事なポイントをまとめます。
本記事の主張は
です。
その理由を下記の6つの観点から考察しました。
- 高強度低レップが望ましい
- 限界までやると、回復時間が遅れる
- 限界までやるなら期間を決めよう
- 高齢なるほど回復が遅くなる
- 限界までやるなら、安全性に配慮しよう
- モーターユニットの概念を理解しよう
しかし多くの人は、以下の二つの理由から筋トレは限界まで追い込むべきだと思い込んでいます。
- 翌日の筋肉痛を成長したか否かの指標にしている
- 疲労感から、成長しそうという思い込み
これを機に、限界まで追い込まない筋トレを、本記事で紹介している方法で試してみてはいかがでしょうか?
ここまで長らくお読みいただきありがとうございました!
ではまた。
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